ELISAさんインタビュー


――最新シングル「ebullient future」についてお伺いする前に、各所で絶賛されたアニサマのお話からお伺いします。改めて振り返って、ELISAさんの音楽活動においてどのような意味があったと考えていますか?
ELISA デビューしてからずっと目まぐるしく状況が変わっていく中で、やっとELISAとして成果を残せたというか、はじめてみなさんから、直で嬉しい評価を頂けたのが、私にとってはアニサマだったんです。自分自身に対する自信に繋がったので、とても重要なイベントだったと、今振り返って噛みしめています。
――でも、成果という意味では1stシングル「euphoric fields」も大ヒットでしたよね?
ELISA あの頃は、デビューするということだけで大変な状況で、手探りのレコーディングだったんですよ。オペラをやっていた経験はあったのですが、レコーディングでは素のままの自分をぶつけるように歌ってしまったので、今となっては「もう1回録り直したい!」という思いもあるくらいで……。
――「euphoric fields」は、あの時期のELISAさんがありのままの形でパッケージングされている作品として、十分成立する魅力があると思います。
ELISA そう言っていただけると、すごく嬉しいです(笑)。
――そして、これまでの経験を活かす形で行われた「ebullient future」のレコーディングですが、振り返ってみていかがですか?
ELISA 「euphoric fields」の時は、完成された素晴らしい楽曲の魅力を、壊さないように歌うことばかりに終始していた部分があったんです。でも「ebullient future」は、アニメ『ef』の内容をさらに深く理解した上で歌えたんですね。2曲とも複雑な恋愛の曲ですが、特に「ebullient future」は大人っぽい、より深い恋愛の曲ですよね。イントロから突然“Love”という言葉が飛び出してくる切迫感。この焦るような気持ちを大事にしながら、表現したいと思ったんです。
――切迫感とは、まさに的確な表現ですね。サウンドも壮大さが増すことで、感情をより情熱的に表現できる楽曲に仕上がっています。
ELISA 「euphoric fields」と比べると、全体的にサウンドがパワーアップしていますよね。本当に『ef』って、壮大という言葉がピッタリだと思うんです。このジャケット写真も世界観の荘大さをより強調したくて、実際に海に行って撮影したんです。ただこの日は本当に風が強くて、何度も目に砂が入ってしまって……。
――この絶妙に切ない表情は、そういうことだったんですか(笑)。
ELISA ですね(笑)。涙を我慢しながら撮影したので、そういう表情になってしまって。要するに、「結果オーライ!」ってやつです。自然も味方に付けてしまいました(笑)。
――(笑)。先ほど仰られた通り、、激しい恋愛を綴った歌詞が印象深いですね。
ELISA 私、アニメ主題歌の歌詞って、普通のポップスの歌詞よりも難しいと思うんですよ。直接的じゃない、抽象的な表現がたくさん使われているし、感じる人によって幾通りもの解釈が生まれて。特に『ef』は、聴き手のイマジネーションを刺激する、とても考えさせられる歌詞が多いと思うんです。「ebullient future」の“ebullient”は “(幸福などに)満ち溢れた”という意味で、“future”は未来。幸福感がサビに溢れているのに対して、Aメロ、Bメロでは希望=未来を歌っているのだと、私は解釈しています。でも、本当にいろいろな見方ができる歌詞ですよね。
――「凍てついた鼓動が体を切り裂いても」のような激しい歌詞は、「euphoric fields」にはない要素ですね。
ELISA 本当にそうですよね。そういう部分が、私にはすごく大人っぽく感じます。
――ELISAさん自身、そういう恋愛の経験は?
ELISA 私にはまだ経験がないのですが、それくらいに激しい恋愛もいつかは経験してみたいです(笑)。
――カップリング曲「pray」も恋愛の曲ですが、ガラッとテイストが変わりますね。
ELISA こういった楽曲は新境地だったので、歌い方については最初悩みました。だからこそ余計に愛着もあって、新しい自分の歌い方が発見できた大事な曲です。「ebullient future」とは違う素直な恋愛観がすごく素敵で、私のお気に入りの曲になりました。
――本当に充実したシングルになりましたね。そして、待望だったデビュー・アルバムも、来年1月リリースに決まりました。まだ制作に入る前との事ですが、どのような作品にしたいと考えてらっしゃいますか?
ELISA 何よりもまずは、レコーディングを心から楽しみたいです。音楽性としては、荘大さを盛り込みながらイージー・リスニングでも楽しめるような、癒しを与えるアルバムにしたいんですよ。私はもともとピアノをやっていたので、オペラやクラシックから音楽に入ったんですね。だからポップスでも、サラ・ブライトマンやケルティック・ウーマンが大好きで。彼女たちの発信する音楽に近づけるよう、素晴らしい作品を目指したいです。
――期待しています! さてまた話は変わりますが、今度はプライベートな質問です。ELISAさんが最近、音楽以外でハマっていることは何かありますか?
ELISA ズバリ、蜂蜜です! 喉にすごく良いので、よくレコーディング・スタジオとかに置いてあるんですよ。試しに食べてみたら、もう止まらなくなっちゃって(笑)。それ以来、今では昼食代りに蜂蜜を食べてます。
――それはすごい。一日に、どれくらい食べるんですか?
ELISA 多い日で800グラムくらい食べちゃいますね。
――そんなに!?
ELISA はい(笑)。私にとっては、お米みたいな感じです。でも食べ過ぎると血糖値が上がっちゃって、心臓がバクバクしちゃうんですよ。今まで、本当にいろいろな種類の蜂蜜を食べましたね。
――ちょっと危険な気もしますが(笑)、蜂蜜ソムリエも夢じゃないですね。
ELISA それ良いですね! アルバムのレコーディングが一段落したら、蜂蜜ソムリエを目指そうかな? なんて(笑)。太らないように気を付けながら、みなさんに癒しをお届けできるような、素晴らしいアルバムを作りたいと思います。期待していてください!

文/冨田 明宏